こんにちは。
トランプ政権が発足してからはや3ヶ月。
TPP離脱やシリア空爆などオバマ前政権とは方向を180度転換しているトランプ大統領ですが、その支持率は4割前後で低迷しています。
このような状況をみて、トランプ大統領は4年も持たず、途中で辞任もしくは弾劾により罷免(クビ)されるのではないかという声が就任前から上がっていました。では仮にトランプ大統領が退いた場合、後任は誰になるのでしょうか。
アメリカ大統領の弾劾手続きについて
2016年、2017年はブラジルと韓国で大統領がクビになったというニュースがありましたね。アメリカにも同じような仕組みがあります。アメリカ憲法は、大統領、副大統領および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪につき 弾劾の訴追を受け、有罪の判決を受けたときは、その職を解かれる。
と定めています。
手続きとしてはまず、
下院の過半数が訴追に賛成
↓
上院で弾劾裁判
となります。
そして連邦最高裁長官が裁判長を務める弾劾裁判が行われ、
上院の67人以上の出席議員の3分の2以上の賛成で弾劾が決定し罷免(クビ)となります。過去に弾劾決議を受けた大統領はアンドリュー・ジャクソン(1868年)とビル・クリントン(1998年)の二人です。
現在アメリカ議会の構成は、上院(総数100)が共和党52人、民主党46人、無所属2人。下院(総数435)は共和党241人、民主党194人となっています。どちらもトランプ大統領の所属する共和党が多数派を占めていることがわかります。そのため、トランプ大統領の弾劾は多くの共和党の議員が賛成に回らない限り実現する可能性は低いです。
なお、クリントン大統領が弾劾決議を受けた際は、野党だった共和党(クリントン大統領は民主党)が議会で多数派を占めていたので、弾劾裁判の実現に至りました。
大統領継承順位
さて続いては大統領が辞任ないし罷免された場合の後継者についてです。日本では総理大臣が辞任した場合の後任は明確に決まっていないため、党首選挙を行って選び直します。しかしアメリカでは、大統領が辞任した場合の後任が「大統領継承法」という法律によってあらかじめ決められています。こちらがその順位の一部です。
1. 副大統領兼上院議長
2. 下院議長
3. 上院仮議長
4. 国務長官
5. 財務長官
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.
.
17. 国土安全保障長官
このように役職によって順序が定められていて、17位の国土安全保障長官まで続きます。3位以降の順位はその閣僚が属する省の設立年順に並んでいます。そのためもっとも新しい省である国土安全保障省(2002年設立)の長官は継承順位の最下位に位置します。
つまりトランプ大統領が辞任した場合、自動的に継承順位第1位の副大統領が大統領に昇格するのです。現在の副大統領はマイク・ペンスです。
ペンス副大統領ってどんな人?
ではこのマイク・ペンス氏とはどのような人物なのでしょうか?
ペンス副大統領は1959年生まれの57歳。副大統領に就任するまではアメリカ中西部インディアナ州知事を務めていました。副大統領に指名されるまでは知名度もそこまで高くありませんでした。
保守的な政治姿勢で知られ、アメリカの草の根右派運動「ティーパーティー運動」を早い段階から支持。また、インディアナ州知事時代には「宗教の自由回復法」を巡ってLGBTの人々の差別を助長すると批判を浴びました。その生粋の保守姿勢を巡ってはリベラル派から「トランプ以上に危険」と言われることもあるほどです。
一方で、自由貿易支持者でライアン下院議長などの共和党主流派とも良好な関係を築いていることから、ホワイトハウスと議会との架け橋になることが期待されています。
過去に副大統領から昇格したのは9人
ちなみに過去に大統領に昇格した副大統領は9人。そのうち8人は大統領の死去によって昇格、辞任によって昇格したのはニクソン大統領の跡を継いだフォード副大統領のみです。この中には、ポーツマス条約の仲介役を果たしノーベル平和賞を受賞したセオドア・ルーズベルト、原爆投下を決定したハリー・S・トルーマン、ベトナム戦争に本格介入したリンドン・ジョンソンなどがいます。
このように副大統領から昇格した大統領は積極的な政策を展開したがる傾向があるといわれているので、ペンス副大統領も昇格した場合は何か大きなことをしようとするかもしれません。
最後に
発足から半年たった今も、大統領の資質や、政権幹部の相次ぐ辞任など次々と問題が噴出するトランプ政権。仮に昇格することがなかったとしても、ペンス副大統領がトランプ政権で重要な役割を果たすことは間違いありません。今後も歴代の副大統領以上に注目を集めることになるでしょう。
最後に話は変わりますがワシントン政治を描いたドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」がとても面白いのでおすすめです。
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