単調な毎日に刺激を

大学生。音楽や本などいろいろ書いてます。

【書評】バッシングが増えたのは現代日本の空虚さが原因?「他人の非難してばかりいる人たち」

こんにちは。
今回は「他人の非難してばかりいる人たち」をご紹介します。

この本では精神科医の筆者が現代日本で批判バッシングがしばしば起こる理由について分析しています。

この本で特に共感した点が2つあったので紹介します。

日本人は嫉妬しやすい環境にある

1つ目はこれ。

日本人はかなり嫉妬しやすい国民である。
(中略)
これには、日本人が一般に置かれた状況の影響が大きいように思う。嫉妬は、「嫉妬する相手」の置かれた状況や得たものをうらやむことから始まる。この時、自分とあまりにもかけ離れた環境にある人物に対しては、あこがれや羨望の気持ちを持つかもしれないけれど、それが本格的な嫉妬につながることは起きにくい。

アラブのセレブが何人もの美女を引き連れてヨーロッパあたりの高級ホテルを何週間も借り切ったとしても、あるいはハリウッドスターが途方もない広さの豪邸を持っていたとしても、「スゴイことだ」と思うかもしれないが、本心からねたんだり、そねんだりということには、おそらくは行きつかない。たいていの場合、嫉妬は、微妙な差異から生じる。わずかしか差のないはずのライバルや、あるいは自分より格下と思っていた後輩が、私生活で幸運を手にしたとき、あるいは立派な仕事上の業績を打ち立てたとき、嫉妬心抜きで、すなおに相手を称えることのできる人はそう多くはないように思える。  むしろ成功した相手に対し、裏に回って、その「人格」を否定したり、あるいは悪しざまにののしったりすることの方が起こりやすいのではないかと思う。それが「普通」の人の反応であろう。このため、多くの場合、嫉妬の対象は、身近な人物となる

まあ何人だろうと嫉妬はすると思いますけど、環境的に日本は嫉妬が生まれやすいというのは事実でしょう。

ハリウッドスターのような圧倒的セレブは少ないし、一般人と芸能人の距離が近いですよね。例えばハリウッドスターが「ビバリーヒルズの豪邸に住んでいて夏はプライベートジェットで地中海の島の別荘に行く。」と話していたら純粋にすごいなと思いますけど、日本の芸能人が「湾岸のタワマンに住んでいて夏は毎年バリ島へ行きます」なんてブログに書いたら必ずコメント欄にネチネチしたコメントが来ますよ。

逆に身近さを狙ったほうが受ける社会ですよね。AKBの「会いに行けるアイドル」というコンセプトはその典型だと思います。あと政治家の庶民派アピールも繋がってそうです。何年か前に麻生さんがカップラーメンの値段知らなくて叩かれてましたよね。もしトランプさんがビッグマックの値段知らなくても誰も叩かないと思いまけど。

一般人と芸能人の距離が近いから嫉妬しやすいのか、それとも嫉妬されるのが怖くて距離を縮めようとしているのか。どっちかわからないけどその距離の近さが嫉妬を生み出し、炎上につながっていることは明らかです。


バッシングが増えたのは現代日本社会の空虚さが原因?

それにしても毎週のように炎上するネタが出てくるのはなぜなのか。
そのことを一番うまく説明していると思った部分です。

ネット上の炎上事件は、日本国民の平均的な心性や知的レベルを反映していると考えるべきなのであろう。前述したネットメディアに詳しい中川淳一郎氏の指摘のように、ネット住民というべき人は「バカとヒマ人」ばかりなのかもしれないが、「ハタハタ1匹」発言をネット配信するマスコミも、騒ぎたてるネット「イナゴ」たちも、記事を読んで喜んでいる読者も、そしてその記事をネタに文章を書いているぼく自身も、同じように「バカなヒマ人」に違いない。
(中略)
自虐的に述べてみると、「バカでヒマ」なわれわれは、自らの現実に不満足になりやすい傾向を持ち、不寛容な心持ちで他人のアラ探しにセイを出しては、いっときのウサを晴らしている。それは、内面の空虚さの裏返しであるが、さらに言えば、リアルタイムの日本という空間は、歴史的に見ても、もっとも虚ろで無目的な時間が流れているようにも思える

ネット住民というべき人は「バカとヒマ人」

そうなんです。とにかくみんな暇なんですよ。暇。
だって忙しかったら芸能人の発言なんていちいち気にならないし、彼女とラブラブしてたらミュージシャンが不倫してようが浮気してようがどうでもいいでしょ。

リアルタイムの日本という空間は、歴史的に見ても、もっとも虚ろで無目的な時間が流れているようにも思える

その通りですね。暇+空虚な日々。これが揃うと刺激が欲しくなる。でも刺激と言ってもネット上でのね。

僕自身もただ目的もなくぼーっと生活していた時はバカッターとか生活保護の不正受給に怒ってましたけど、目標に向かって進んでる今はそんなことどうでもよくなりました。考える時間ももったいないし、そもそもそんなニュース目に付かなくなります。だからやっぱり目的なく生きてちゃダメですよ。何か目標を持ちましょう。

まとめ

ネットに不満を書き込んでも自分の生活が良くなるわけじゃないし、さらに社会が息苦しくなるだけだと思うんですよ。だから空虚さを満たすためには他人を叩くんじゃなくて褒めるとか、他人の年収を僻むんじゃなくて自分の収入をあげる努力をするとか。そういうのが必要だと思います。

まあ言葉で言うのは簡単なんですけど、実際は難しいですよね。他人を叩いてるほうが楽だし。でも文句言ってても変わるわけじゃないので、他人を非難する前に自分を変えましょう。

僕はとにかくこの社会がもっと他人に寛容で生きやすくなると良いなあと願うだけです。

他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑

さらに詳しいレビューは以下のリンクからどうぞ。

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます

【逃げ恥】星野源さんのエッセイ「そして生活はつづく」が面白かった - サバリズム

トランプさんの選挙人が裏切ったらどうなるの? - サバリズム

コミュ障を克服したい人に絶対読んでほしい本、「なぜ、この人と話をすると楽になるのか」 - サバリズム