こんにちは。
予想を覆して、ドナルド・トランプさんがアメリカの次期大統領に選ばれました。
これからアメリカそして世界がどうなっていくのか不安ですが、同時に楽しみでもあります。
さて、この大統領選で常に話題になっていたのが「選挙人」という言葉。
僕たち日本人にとっては馴染みのない概念ですよね。
彼らがどういう人なのか、そしてもし裏切ったらどうなるのか。
気になったので調べてみました。
そもそも選挙人って?
米国大統領選挙で、各州での一般投票の結果に従って大統領候補に投票する人。 全米に538人がいて、州ごとに人口に応じた数の選挙人が割り当てられている。 大統領候補を出した政党は一般投票前に各州の選挙人人数分の名簿を決め、一般投票で勝った候補者の党が名簿全員を選挙人投票に送り込む。
この独特なシステムはアメリカ建国当初の名残。当時は識字率も低く、メディアも少ない時代。政治のことがわからない一般大衆が直接選ぶのではなく、教養を積んで政治のことがよくわかっているエリートや知識人に大統領を決めてもらおうという考えだったようです。ただ現在では形式的なものになっています。
また、得票数と獲得選挙人数が逆転してしまうこともあり得るため制度を見直すべきだという批判もあります。
どういう人が選挙人になるの?
では選挙人にはどういう人がなるんでしょうか?調べてみると州によって異なるものの、
政党の幹部や州選出の上下院議員が多いようです。
ただ投票用紙には、「〇〇大統領候補、〇〇副大統領候補に投票する選挙人団」と記載されていることが多く、選挙人個人の名前が記載されていることは少ないです。
なので、具体的に誰が選挙人をやっているかは一般人にはわかりづらいんですね。
選挙人による投票はいつやるの?
昨日行われた大統領選は選挙人団を選ぶ選挙。つまり、選挙人たちが投票する選挙がもう一度あるということですよね。
その選挙人が投票する選挙が行われる日も大統領選と同じく日程が決められていて
「12月の第2水曜日の後の最初の月曜日」に行われることになっています。
今回は12月19日ですね。
選挙人による投票が終わると、投票結果を記した証書に選挙人がそれぞれ署名。その投票結果を副大統領に送付します。そして翌年1月上旬に開かれる連邦議会両院合同会議で結果が開封され、次の大統領が正式に認証されます。
選挙人が裏切ったらどうなる?
でも選挙人が裏切ったらどうなるんだろう?
一番気になるところですよね。
彼らが裏切ったら国民の意に反した大統領が選ばれてしまうこともあるんでしょうか?
実は、裏切りを防止するために選挙人団は自分の候補に投票することを誓約していることがほとんど。
そして裏切った選挙人に対しては罰金を課す州が半数近くあります。
ただ裏切った選挙人の票が無効になる州は3つしかなく、それ以外の州では裏切った人物の票もカウントされます。
つまり、選挙人が裏切れば国民が選んでいない人が大統領になる可能性があるってことですね。なのでトランプさんが大統領に選ばれない、ということがあるかもしれません。
過去に裏切った選挙人はいるの?
自分の候補に投票することを誓約し、違反した場合は罰金を科せられる可能性もある選挙人。ただ、これまで裏切った選挙人が一人もいないかというとそんなことはありません。
1948年から2004年までの選挙で裏切った選挙人はわずか9人。
そしていずれのケースでも裏切りが選挙結果に影響を与えたことはないんだとか。
そうなったら面白いんですけどねw
今回の選挙ではトランプ氏が選挙人を290人獲得しています。過半数は270人なので結果が覆るには21人の造反が必要になります。しかも先ほども言ったように選挙人を務めているのは、党の重鎮や幹部。彼らがライバルの候補者に入れるというのは考えにくいのではないでしょうか。
なので、選挙人の裏切りで結果が覆ることはないでしょう。
(追記:一部の州で票が再集計されるようなので、もしかすると獲得選挙人の数が変わるかもしれません。)
まとめ
まとめると、選挙人は裏切らないと誓っているけど、裏切ることもある。
ただ、裏切っても結果が変わったことはない。
ということです。
追記1:ヒラリーの選挙人が裏切りを明言していた
ヒラリー・クリントンの選挙人が大統領選の数日前に、造反を明言していたようです。一応ソースを二つ貼っておきます。
Washington Democrat Won't Vote for Hillary Clinton in Electoral College
Washington state electors on the fence about voting for Hillary Clinton - CBS News
記事の内容をざっくりと説明すると、
造反を明言したのはワシントン州の選挙人Robert Satiacum氏。バーニー・サンダースの支持者です。
「もしヒラリー・クリントンがワシントン州で勝っても、私はヒラリーに入れない。彼女は犯罪者で、何も成し遂げていない。」
そして他州の選挙人も自分に続いて造反することを期待しているとのこと。
結局彼が造反しなくてもヒラリーは大統領に選ばれませんでしたね。Satiacum氏が12月の選挙で誰に入れるのか気になります。
追記2:選挙人の裏切りを禁じた州法は違憲か?
選挙人の裏切りを禁じたコロラド州法の合憲性が争われたColorado Department of State v. Baca事件の判決が2020年7月に出ました。結論は9-0で合憲。まあ当然といえば当然かな、と思います。Colorado Department of State v. Baca
ちなみにコロナウィルスの関係で連邦最高裁の口頭弁論がリアルタイムで配信されてます。ありがたい...興味のある方はぜひ。
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