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カリフォルニア州がアメリカ合衆国から独立?実現の可能性は?

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先日の大統領選でドナルド・トランプ氏が大統領に当選。
予想外の結果に、都市部の若者が反対デモを行うなど混乱が広がっています。

さて、大統領選の結果を受けて「カリフォルニア州アメリカ合衆国から独立させよう」という運動「#Calexit」が広がっているのをご存知ですか?

スコットランド、EU、TPPと現在の世界は離脱ブーム。
でもカリフォルニアまで独立したら世界はどうなる?

提案しているのは誰?

この突拍子も無い提案を援助すると表明したのは起業家のシャービン・ピシェバー(Shervin Pishevar)氏。UberAirbnbに出資したベンチャーキャピタルとして知られています。

彼が選挙後にこんなツイートをしました。
https://twitter.com/shervin/status/796190968735289344

「もしトランプが勝利したら、カリフォルニアが独立国になるための合法的な運動を発表し、資金調達を開始する」

彼がこんな提案をしている理由は、トランプ氏が大統領に選ばれたから。

トランプ氏の移民や少数者に対する不寛容な政策や女性に対する蔑視発言はシリコンバレーの開放的な文化と相容れず、シリコンバレーの投資家たちは選挙中からトランプ氏に対しては批判的でした。

一方のトランプ氏は元々シリコンバレーに対して批判的な人物。Appleなどの工場を新興国からアメリカに戻すと主張しているほか、アマゾンやグーグルなどのグローバル企業が税逃れをしていると批判を繰り返していました。

なのでお互いに馬が合わないんですね。

独立して国としてやっていけるの?

カリフォルニア州の人口は3800万人。なんとカナダよりも人口が多い(カナダの人口は3500万人)。そして面積は424,000 km²で日本の1.1倍です。そしてGDPは2.5兆ドル。これはイタリアと同じくらいの経済規模。人口、面積、経済規模で考えるとじゅうぶん独立国としてやっていけますね。

これまで州が独立した例は?

国としてやっていけそうとはいえ、州がアメリカから独立したい時にはどうしたらいいんでしょうか?
実はアメリカの憲法は州の加盟については規定している一方、州の離脱・独立については規定がありません。歴史的に領土の拡張しか想定されていなかったので、規定がないんでしょうね。そのためカリフォルニアが独立を果たすためには憲法改正もしくは連邦最高裁に訴えるしかなさそうです。

独立するために憲法を改正できる?

憲法改正の発議(提案)をするためには「連邦議会両議院の2/3が必要と認める時」
もしくは「全州の2/3の議会の請求」が必要。そして改正を実現させるためには「全州の3/4の議会によって承認される」必要があります。これは結構ハードル高いですよね。議会が州の独立を認めるはずがないので、改正の提案すらできなさそうです。

独立を訴えた裁判は門前払いされる?

もう一つの方法である「連邦最高裁に訴える」というやり方。こちらの方が現実的かな〜と思って調べたらどうやらこっちも難しそうです。というのには二つの理由があります。一つが「分離独立の権利の有無」。もう一つが原告の不適格性です。

もう一つの原告の不適格性というのは州が合衆国を訴える資格がないということ。裁判の多くはこの理由で訴えが退けられてしまうのです。
今年2月に死去したアントニン・スカリア元連邦最高裁判事は

南北戦争によって解決した憲法上の問題があったとすれば、それは、分離独立の権利はない、ということだ。そこで忠誠の誓い(Pledge of Allegiance)にも、‘一つの不可分の国’とある。第二に、分離独立を訴えるとしたら、一体誰がその原告になるのか、それがわかりづらい。州が合衆国に対して権利の存在を訴えるのか? しかし合衆国をその同意なくして訴えることはできない。また、この種の訴訟を同意したことはない。

Trumpの勝利でシリコンバレーの投資家たちは頭がおかしくなっている(カリフォルニアの分離独立を主張!) | TechCrunch Japan

と、述べています。

州は分離独立する権利を持たない上に、裁判で訴えても判決が出ないで門前払いされてしまうということになります。
実は僕は、アメリカの各州が分離独立する権利を持っているんだと思っていました。イギリスがEUから離脱したように。でもどうやら分離独立する権利は持っていないようですね。

独立が実現する可能性は低い

以上のことからわかるように実現する可能性はかなり低いカリフォルニア州の独立。

唯一考えられるシナリオは、住民投票で圧倒的多数の票を得て独立の風を吹かせることくらいですかね〜。まあほぼゼロかな。

多分しばらくすればみんな熱が冷めて忘れられていくでしょう。

追記 2/3

>多分しばらくすればみんな熱が冷めて忘れられていくでしょう。

と書きましたが、3ヶ月経った今も運動は継続中。むしろ勢いが増しているようです。

現在の動きをこちらの記事にまとめました▼
カリフォルニア独立派は結構本気。ホームページも出来ていますよ。

www.sabarism.net

独立派のホームページ&ツイッター

そうだったのか!アメリカ - 池上彰

アメリカについて知りたい人はこの本1冊で十分ですよ〜

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